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炎桜/えんおう

脳性麻痺のボッボぼくのタッタ体験的小説ブログです。
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炎桜/えんおうトップ
↑の日付はUp開始日です!
今年の6月でブログ開設三周年です。


絆目次
----------Go <ブログ再開、書き下ろし「灰」>----


「灰」正月休み中に書いた小説です」
--- 010徒然目次
05/02(日)
イメージ・05/02日曜Up」





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メイキング目次 
−−−−−−−−−<目次>−−−−−−−−−
1.過去の小説Up記録ページ
2.ボクの掲示板GoGoBBSです。!なんでもカキコしてね!
3.ボクエッセイ
4. コメント集
鈴木豪 | 目次 | comments(13) | -
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炎桜の紹介
この作品、炎桜(エンオウ)は生まれつきの障害を持った人間である、中野公平が自分自身を囲む苦しみと絶望に抗う為に犯罪を犯す物語である。その中野公平に一瞬でも関わった人達に彼自身の事を訊ねてみた。


中野公平を小学生時代にいじめていた同級生。

中野、公平?あー、あれか、昔、あいつの事構っていたよ。だって、構うと、結構、あいつの反応が面白くてさ。まあ、本人にとってみれば、いじめなんだけどよ。ハハハッ、懐かしいな。あいつ、今、何してんの?
ハッ、マジで?ソッソッそんな事したんだ、何で?そんな事を.....


中野公平の上の姉

何?あなた、私に何か用?私はあんたになんか興味ないわ。だって、私は、エッ、弟の事を聞きたい?ナッ何、言ってるの、私に、弟なんていないわ。ましてや、そんな事をした弟なんて。私は弟なんて、いないわ。
 

自動車学校で中野公平を指導した教官

中野公平、ああ、良く覚えてるよ。障害者のヤツだろ?全く、あいつは覚えが悪くてな。でも、何とか卒業してな。当時、俺は奴にはイライラしたもんだが、今となってみれば懐かしいな。今、奴は何をやってるんだ?エッ、奴がそんな事を?全く、信じられんな、そんな事をするなんて。

学生時代の中野公平を勧誘しようとした
新興宗教ユバリ教の普及に熱心な女性

中野公平?誰でしょうか?(彼の高校時代の写真を見)ん?ああ、この人、私、覚えています。私があんなに一生懸命にユバリ様の事を教えていたのに、馬鹿にした態度で、よく覚えていますよ。この人が何を?ハッ?
彼がそんな事を!全く、ユバリ様を馬鹿にしたからこんな事になるんです。アッ、そうだ、もし、良かったら、あなたもユバリ教に入りませんか?


中野公平が行ったイメージクラブの女性従業員

あーら、いらっしゃーい。どんな女の子とするぅ?え?違うって?は?中野公平?知らないわよぉ、そんな人。そんな事より、いい子いるわよぉ、あなたも抜いてったらぁ?



鈴木豪 | - | comments(0) | -
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「ボクの恋愛体験1」
−−−−−−−−<立ち読みコーナー「恋愛1」>−−−−−−−−−−−−−−
 「勤労生活」をまだ読んでない方は此方から読んでください。 

 竹田千里、それが中野公平が初めて恋した女性の名前である。
千里は俗に言う優等生であり、容姿も可愛かった。
しかも、公平とは中学三年間、ずっとクラスが一緒であったし、隣の席になったこともあった。そのせいで千里と喋る機会も自然と多くなり、
段々と千里がすきになってしまった。

 しかし、千里は公平を好きではなかった。むしろ嫌いであったろう。当然である。
一人は可愛く、優等生であり、健常者である。
 もう一人はブサイクで、劣等生で、障害者である。
もっとも、そんなことは彼自身が一番わかっていた。だから、密やかに見ていただけだった。ただそれだけだったのに------。<5月24日AM6:30までの入力>

 中学三年のある冬の日、千里は彼を誰もいない教室に呼び出した。
正直この時、公平は千里に告白でもされるのかと淡い期待をしていた。
だが千里は残酷にもこう言い放った。
  「気持ち悪いから、あんまり私のこと見ないで」
「エッ!」
  「エッ?じゃなくて、あんたに見られると私が気持ち悪くなるの!」
 「アッアッああ、そうなんだ」
  「だから、あんまりこれ以上、私を見ないで!分かった?」
  あんまりの言葉に二の句が繋げないで黙っていると、千里が怒ったような声で、
「分かった?」
  「ワッワッ分かった」

 公平は帰宅して自分の部屋で泣き、自分の惨めさを、自分を気持ち悪いと言った千里を、自分が障害者であることを心から憎んだ。
 しかし、どうすることも出来なかったので仕方なしに泣いた。
泣くしかなかった。そんな彼の涙を代弁するかのように部屋の窓から見える雪も降りしきっていた。
 泣き終わったあとに彼は心に誓った。自分はもう恋愛はしないことを------。
恋愛2に続く

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鈴木豪 | ノベル | comments(1) | -
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ボクの「恋愛体験2」
バックナンバーどうぞこちらから
1.「勤労生活」
2.恋愛1
−−−−−−−−<立ち読みコーナー「恋愛2」>−−−−−−−−−−−−−−
 <1>
 高校に入学して一ヶ月も過ぎた頃、彼はある一人の女性に告白された。
名前は新田理絵。彼女は彼の初恋の女、竹田千里に比べようのないほどに容姿が劣っていた。 恐らく理絵は自分の容姿の醜さと公平の障害が釣り合うとでも思ったのだろう。
 事実、彼女は告白するときにこう言った。
「私、あなたとだったら付き合えるかも知れないと思ったの。だから私と付き合って」
 彼は確かにハンサムでもない障害者であった。だが、いくら自分が障害者であってもさすがに、こんな蜻蛉(とんぼ)のような顔をした女性と付き合いたくはなかった。
(あなたとだったら?冗談じゃない。僕はお前みたいな顔した奴とつきあうもんか!)
  彼はそう思った。だが、思うことがあって彼はこう言った。
   「イッイッいいよ」
何故、公平は自らのプライドを曲げ、彼女とつきあうことにしたのか?
それは理絵を媒介にして腹いせがしたいからであった。
自分を馬鹿する人間達や自分を気味悪いと言った千里への------。

<2>
 公平は彼女と付き合った三ヶ月の間、一回も理絵のことを考えていなかった。
考えていたのは、どうやったら彼女を媒介にして自分を馬鹿にする人間達や自分を気味悪いと言った千里に腹いせが出来るか、ただ、そればかりを考えて、
 その機会を狙っていた。
だが、そんなことを公平が考えていて、ただ、そのために自分と付き合っているとは、
理絵は思いもしなかったに違いない。

高校に入ってから、初めての夏休みに自分の地元のアーケード街で十分くらい、
公平と手を繋いで歩いている時に理絵は感付いた。
二人を見る物珍しさと軽蔑の入り交じった周りの視線に。
 それは公平が小学生の時の鼓笛隊パレードの時の視線にも似ていた。
酔っぱらいのように千鳥足で歩きながら、たて笛を吹く振りをする彼を射ぬような視線に。生まれて初めて感じるそのおぞましく、刺すような視線に耐えきれなかった。
「ねぇ、公平君」
理絵が甘えるような声を出して、自分に声をかけてくるのが、公平は少し腹立たしかったので、なるべく無愛想に言葉を返した。
   「ナッナッ何?」
「どこか、喫茶店でも入らない?」
「何で」
「だって、何か、恥ずかしい」
「ナッナッ何が?」
「人に見られるのが」
「何で?ナッナッ何で、ヒッヒッ人に見られるのが、ハッハッ恥ずかしいの?」
「だって」
 もちろん、公平は理絵が何で人に見られるのが恥ずかしいのかを知っていた。
それは障害者と歩いている自分を見ている視線が、恥ずかしからに違いなかった。
  それで公平に、
「喫茶店でも入らない?」
と聞いているのだ。

<3>
公平はそんな理絵に自分でも密かに驚くほど、冷静な声で言った。
「理絵さんが何を言いたいか分かるよ。僕と歩くのが、ハッハッ恥ずかしいんだね?」
「エッ、ソッそんなこと」
理絵は少し言葉につまった。それは見事なまでの彼の言葉への返答でもあった。
言葉につまるということは一種の肯定である。

 「デッデッでもね、キッキッ喫茶店に入っても同じだと思うよ」
  彼の言うとおり喫茶店に入っても同じであった。
  喫茶店の店員や他の客の視線が、あるからだ。
    公平は黙っている理絵に畳みかけた。
 「それにね、ボッボッ僕も、ハッハッ恥ずかしいんだ」
  「------」
 「何でか分かる?リッリッ理絵さん」
   「------分からない」
「リッリッ理絵さんが僕と歩くのが恥ずかしいように、僕も、ハッハッ恥ずかしいんだ」
  公平は理絵の耳元に口を寄せ、
     「オッオッお前みたいな、トットッ蜻蛉のような顔した女と、イッイッ一緒に          歩くことが」(5/26PM6時最新入力)
理絵は公平の吃りながら耳元で囁かれるその言葉を聞くと、最初はただ呆然と
立っていた。やがて、彼女はその場にへたり込み、子供のように泣き出した。
 公平はそんな理絵の姿を満足そうに確認すると、すぐその場から離れた。
    (5/27AM9:30入力)
<4>
  この後、公平は理絵と別れることになるが、公平はもう理絵のことなど
 どうでも良かった。
  彼女を媒介にして(少しだけだが)自分を馬鹿にしている人間と自分を傷つけた初恋  の女への腹いせが出来たからだ。
    それら全てが終わったら、彼女は早々、用済みであった。
  それに元々、公平は理絵に恋愛感情は全く抱いていなかった。

    
しかし、理絵にそんなことをしても、決して太陽が燦々(さんさん)と
       光り輝くようには、気分が晴れなかった。
   確かに理絵を傷つけ、泣かせたときは少しだけだが、気分は晴れた。
     だが、それは牢獄の格子から差し込むような脆(もろ)い光であった。
   それに一ヶ月も経つと、理絵と付き合う以前のように、
    否、それ以上に公平の気分が曇ってしまった。
      盲目になってしまった世界のように。それから公平は
       そのような気分で過ごしていた。
     マユミと出会うまでは------。「恋愛2了」

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     −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  恋愛マユミ編は、ラストに関わる章ですので、非公開にします。知りたい方はどうぞ
本を 買ってください


ラスト以外を立ち読み化するかを迷ってます。どうぞご意見のコメント、下さい。

   
  
         
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08/エッセイ
メイキングへ

1/5(土)血と涙を流しても
1/6(日)昨日から
1/13(日)玉突き事故
1/20(日)最近、変に思ったこと
2/3(日)104
2/10(日)バレンタインデー
2/17(日)
刺激
2/22(日)
3/2(日)ロス疑惑
3/9(日)スクラッチくじ
3/16花粉症
3/23ハクビシン
3/30禁欲
4/6エゴイズム
4/20チベット問題について
4/27迷惑メール
5/4無知
5/11硫化水素自殺
5/18 
5/25 マスターベーション
08エッセイ下期へ
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08エッセイ下期
6/1 六月
6/8 タスポ
6/15 緊急告知
6/22 愛のムチ
6/29 もうすぐ7月
7/6 疲労
7/13 
7/20 行列
7/27 獣姦
8/3 感情殺人
8/17 楽しむ
8/24 フェチズム
8/31 警察官の態度
9/7 首相というのは
9/14 ひがみ
9/21 睡眠不足とオナニーの因果関係
9/28 「パラリンピック」
10/5 「所有物」
10/12 「闘牛」
10/19 「化粧」
10/26 「無意識」
11/01 「ラーメン」
11/09 「カメムシ」
11/16 「事故と行為」
11/23 「探偵小説」
11/30 「レッドクリフ」
12/07 「カレー」
12/14 「ケーキ」
12/21 「今年読んだ本ベスト3」
12/28 「来年は」








































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1.ボクの障害
 ボッボボクは人に真似され、自分は人と違うことに気付いた---。
−−−−−−−<障害>−−−−−−−−
   <1カマキリ人間>
自分の意思とは無関係にカマキリのように曲がりくねってしまう腕、
酔っぱらいの千鳥足のような歩き方、人と喋ると言語障害のために吃(ども)る。
二歳の頃の小児麻痺のせいでそんな体になっていた彼は、
ただ、それだけの理由で周りの人間から馬鹿にされ、いじめられていた。

 幼稚園の頃までは別にそのようなことはなかった。
何故なら、幼稚園児というのは無邪気で、障害者だろうが健常者だろうが、
関係なく付き合うからだ。

だが、小学校に入学してからは彼は自分が初めて障害のせいで馬鹿にされ、
いじめられるようになったことに気付いた。
 小学校に入学して間もない頃、二年上の上級生が彼の教室にやって来て、彼の目の前で
彼の真似をした。彼がいつもしてるように、カマキリのように右腕を曲げ、酔っぱらいのような歩き方で歩いた。
それは全く、酷い真似だった。
 
 彼は初め、自分の真似をしたとは思わずに、その上級生を笑った。すると
何ということだろう、今度はそいつも一緒になって笑ってるではないか。
彼は奇妙に思い、笑いを止めると、そいつもピタリと笑いを止めた。
ここでようやく彼は気づいた。その上級生が今まで自分の真似を真似をしていたことを、自分はどのように人に見られていたかも。
  そして自分の背負うべき運命を---。

<2耳>
彼は耳も遠かった。
しかし、補聴器は付けなかった。何故かといえば長時間、
補聴器を付けていると、むず痒(かゆ)くなってしまうからだ。
 小学三年の時に一時期付けていたことがあったが、痒くて、痒くて、気になって仕方がない。これでは耳が聞こえるどころではない。気になってしょうがないので
やがて、彼は補聴器を外すことにした。
完全に聞こえないというほどではない(もっとも左の耳は全く聞こえないが)。
彼は耳が遠いせいで苦労したことは就職するまでは一度もなかった。

障害者であるから周りも気を使ってくれたせいもあるが、それ以前に彼の耳に大事な用件を周りが吹き込まなかったからだ。
 それに彼の周りにとってみれば、いてもいなくても、誰も喜びもしなければ、
悲しみもしない存在だったからだ。

彼が十八の時、こんにゃくやところてんを製造する会社に就職した。職種は事務だった。上司は彼が耳が遠いのはわかってるはずなのに、早口で命令する。
それを彼は半分理解しても、全部は理解できない。それで上司に怒られてばかりだった。
例えば上司が彼に、
「この文書何々スパーにファクスで送って!」
と早口で言ったとする。だが、彼にはそのスパーの名前が上司の早口と彼の難聴で聞こえないものだから、上司に一々、確認しなければならない。
そんな彼に上司はイライラしていた。彼もそんな自分にイライラしていた。
それで彼は自分の難聴と生まれ持った障害のせいで事務の仕事は満足にできなかった。

彼が出来るのはパソコンを使った伝票入力や文書作成しかなかった。
しかも、ミスが多少あって一日に三回は上司に怒られていた。
そのような理由で、彼は事務に就いてから二年後、
製造に配置換えをさせられることとなった。
彼は密かにホッとした。その頃になると事務はウンザリだったからだ。
だが、製造の仕事も事務とは違った意味でウンザリさせられるとは
全く思いもしなかった。
 
<3手の震え>
彼は味噌汁やコーヒー等が苦手だった。
別に味噌汁やコーヒーの味が苦手だというわけではない。苦手だというのは器だった。
味噌汁が入っているお椀、コーヒーが入っているカップ。
何故、それらが苦手かというと彼がそれを飲む前に全てこぼしてしまう
恐れがあるからだ、手の震えによって。
ならば、その瞬間だけ手の震えを抑えると、どうなるのか? 披も何回かそれを試みた。

しかし結果は無惨だった。あまりの緊張により震えが止まらなくなってしまう。
否、それは益々、激しくなって、なおさら味噌汁やコーヒーをこぼしそうになる。

それで彼はお椀やカップに入っている味噌汁やコーヒーが好きではなかった。
しかし、缶やペットボトルに入っているジュース、コーヒー、お茶等は手の震えに関係なく飲めた。缶やペットボトルは多少、手が震えても飲み口の面積が少ないために、
こぼさなかったからだ。

  <4千鳥足>
彼の歩き方は脳性麻疹の障害のために健常者のようにまっすぐに歩けなかった
ので、酔っ払いの千鳥足のようなフラフラとした歩き方をしていた。
そのために小学生の頃の渾名の一つは酔っ払いであった。
以来、それがトラウマとなり、彼は人が酔っ払ってるのを見ると殴りつけたく
なるような衝動に駆られた。

それが実の親でもだ! 
 否、実の親だからこそ、殴りたくなる衝動に駆られた。
しかし、彼は我慢をした。本当は自分の身体をこんな風にした
張本人だからこぞ殴りたいのに殴らなかった。否、殴れなかった! 
それを行なうには彼は気が弱かった。

その気の弱さが何に起因しているかといえば、全ては自分が生まれ持った障害の  
せいだと彼は思っていた。
 
<5吃音症>
    彼は言語障害もあった。そのせいで、よく吃った。
独り言は別に吃りもしないが、いきなり話しかけられたり、
少しでも緊張をすると吃った。それで彼は必要最低限の会話しかしなかった。
本当は誰とでも喋りたいのに……。
 
それで彼はそんな自分の吃りを克服するために様々な努力をした。
レコード店ではそれほど欲しくないCDの在庫を店員に訊いてみたり、駅前で道が分からない振りをして人に道を尋ねてみたり、

本屋で本を注文したり、レンタルショップでトイレに入っていいか訊いたりもした。
しかし、彼は自分か努力をすればするほど、
努力をしている自分を嘲笑うかのような視線に耐え切れなくなってしまった。
それにいくら努力をしても吃りは少しも良くはならなかった。
やがて彼はいつからか、吃りを克服する努力を止めてしまった。

本当は喋りたい。しかし、自分なりに一生懸命、努力をしても一向に吃りは直らない。
悲しかった。
否、それを通り越して虚しかった。
吃りがなければ会社の電話にも応対出来たのに、
吃りがなければ自分を馬鹿にした奴等に罵声を浴びせられるのに、
吃りがなければ自分が気になっている女性とも上手に喋れるはずであったのに……。
 
彼は虚しかった、本当に虚しかった。無理して喋ろうとすると吃る。落ち着い
て喋ろうすると、今度は余計に緊張して吃る。
人の視線を感じると吃る。吃れば
今度は周りの人が笑っているように感じる。
いくら努力をしても彼は吃り、吃る度に周囲の軽蔑や嘲笑を感じていた。
  <6嘲笑い>
彼はそれらの障害のせいで心ない人達に馬鹿にされ、いじめられていた。
彼が吃れば人は彼の真似をして吃り、
彼が歩けば人は酔っ払いのように歩き、学生の
時は殴られ、蹴られ、コンビニで買物をすれば手の震えによりお釣りを落としそ
うになる彼の姿を店員が嘲笑う。
彼がジロリと相手を睨むと店員も睨み返す。
やがて彼は自分の気の弱さのせいから自分を嘲笑った店員から視線を逸らし、
逃げるようにコンビニからコソコソと立ち去る。

要するに彼は彼なりに一生懸命に頑張って何かをしても、結局は自分の障害のせいで無惨な結果に終わってしまうのだ。
 
<7神>
そのような理由で彼は自分を取り巻く全てのものを憎んでいた。自分を馬鹿に
する人を、自分をいじめる人を、
自分を扱き使う職場を、自分を生んだ親さえも。
そして、こんな身体にした神も。否、彼は神の存在を信じていなかった!
 もし、神がいるなら、神が全ての人類に平等なら、自分がこんな身体にならなくって済
んだはずであると彼は信じていた。
 


     <8勧誘1>
高校二年の時の夏休みのことである。夏休みの宿題を図書館で済まし、帰ろう
として席を立つと、すぐに隣に座っていた三十前後くらいの女性もそれを追いか
けるように席を立ち、
 「あのお」
 その女性は猫が人間にじゃれつく時に出すような声で披に話しかけてきた。彼
はその女性の顔を冴しげに見た。
 「今、お時間いいですか?」
 彼は別に用はないが黙って首を横に振り、その場から逃げるように立ち去った。が、
その女性は追いかけてきた! 彼女は追いかけながら叫ぶ。
 「待ってくださあい、待ってくださあい!」
 奇妙な光景だった。千鳥足のような歩き方で階段の手摺を使って逃げ出す障害
者、それを追いかけるのは
「待ってくださあい、待ってくださあい」とそれしか
言葉を知らないかのような三十前後の女性。やがて、図書館の玄関で彼女は彼の
肩を捕まえた。
 「何で、逃げるんですか?」
 「ジッジッジッ時間がないから」
 「時間はとらせません。ユバリ様の教えをあなたに授けるだけですから」
 「ユバリ様の教え?」
「はい、ユバリ様の教えです」
 ここで彼は改めてその女性の顔を見た。歳は三十前後だとは思うが、その瞳は
まるで三歳児のように何も知らないかのような瞳であった。
なおかつ、その瞳は阿呆のようでもあった。

     <8勧誘2>
  彼がジッと自分の顔を見ているので彼女は不審気に、
 「私の顔に何か?」
 「いえ、それで何です。その、ユッユッユッユバリ様の教えって奴は」
 「はい、これを見て頂ければ分かると思います」
 彼女はカバンから表紙には髭がモジャモジャと気持が悪いほどに生えている
  五十代半ばくらいの卑しい目付きをした男の写真がプリントされてあるパンフレッ
トを出し、彼に渡した。 

 そこには大体、このようなことが書かれてあった。
 『破滅の時はもうすぐやってくる! それから逃れるにはキリストの生まれ変わ
りである、我がユバリ教の教祖、ユバリ様を拝みなさい』
 
   また、こんなことも書かれてあった。
 「金を憎みなさい。金は全てにおける敵です。金をキリストの生まれ変わりであ
るユバリ様に捧げ、その汚れた体を浄めなさい』
 
<8勧誘3> 

彼はそれらを見て思わず吹き出してしまった。それを見た彼女は少し怒ったよ
うな声で問い質した。
 「何かおかしいんです?」
 「いや、何でもないです、ただ」
 「ただ? 何です、何かおかしいんです?」
 「この、何? ユバリという人はキリストのウッウッウッ生まれ変わりなの?」
 「はい、キリストの生まれ変わりです」
 「その根拠は?」
 「ユバリ様がそうおっしゃっているからです」
 「それで、あなたはそれを信じているんだ?」
 「はい!」
「それで、あなたは僕をカッカッカッ勧誘してるんだ?」
 「はっはい、是非、入会してください!・」
 彼は段々と腹が立って来た。この世に存在しない神を信じ、
それを信仰する宗教に自分を勧誘しようとするその女性を。

      <8勧誘4> 
彼はこういう人間は無視すればいいということは分かっていた。が、
彼は彼女が信仰する神という存在を、自分を助け
てくれない神という存在を、根本から壊してやりたくなった。
 「それで、ニュッニュッニュッ入会すれば、キリストの生まれ変わりのユバリ様
は僕に何をしてくれるのかな?」
 「あなたの苦しみを取り除いてくれますに
 「じゃあ、ニュッニュッニュッ入会しよう。でも、その前に」
 「その前に?」
 「ボッボッボッ僕の体を今すぐに健常者にしてくれるかな?」
 「え?」
「〜え、じゃなくてさ、僕をケッケッ健常者にしてくれよ。今すぐに」
「そういうことは入会してからユバリ様御本人におっしゃってください。入会金
はですね」
 「お金を払わないと健常者にしてくれないんだ?」
 「それはもちろんです。まず、金をユバリ様に捧げ、身を浄めないといけません」
 「それは変だね。キリストのウッウッウッ生まれ変わりなんだから、そんなこと
しなくても僕を健常者に出来るはずなんだけどなあ……」
 この彼の言葉で彼女は黙ってしまった。それで彼は調子に乗って続けた。
 「まあ、デッデッデッ出来るわけないですよね、ユバリ様は元々、キリストの生
まれ変わりじゃないですし、それに」
 ここで彼は彼女の顔をチラリと盗み見た。その顔には絶望の二文字が書かれて
あったように見えた。

彼は貰ったパンフレットを彼女の目の前で満足気に被りながら告げた。
「カッカッカッ神なんて元々、イッイッいないんですから」
 それでその女性はその後、一言も発することなく逃げるように
彼から立ち去った。
 
  <9公平>
彼が中学二年の時、父親が競馬で万馬券を珍しく当て、8ミリビデオカメラを
買って来た。彼の父は試しに彼を撮った。
彼も喜んで撮られた。普通に歩いた、
普通に喋った、普通にはしやいだ。普段通りの自分を撮ってもらった。
つもりだった。が、
 
 そこに映っていたのは、これが家族や自分をいじめる人達と同じ人間
かと目を疑いたくなる自分だった。
彼は今まで人に馬鹿にされ、いじめられてきた。
しかし何故に自分がここまで馬鹿にされ、いじめられるのか理解が出来なか
った。が、ビデオに映っている自分の姿を見て、ようやく理解した。
彼が何故馬鹿にされ、いじめられるのかを。
鏡でさえ映さない本当の自分の姿を目の当りにして------。
 そんな彼の名前は中野公平といった。何という皮肉!
 自分は人と違っているのに、人に馬鹿にされているのに、人にいじめれているのに、人に差別されているのに、
人に軽蔑の視線で見られているのに、全然「公平」ではないのに、
そんな名前を付けられるとは。彼は全く、不公平そのものであった。
 それらの理由で公平は自分が障害者であることを憎んでいた。出来るなら自ら
の障害だけを燃やして、健常者になりたかった。
何の気兼ねもしないで普通の生活が出来る健常者に!

  一、障害(完)

●今まで、Upした分は立ち読みトップへ
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コメント集
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ぼっぼボクの吃りノベル/目次
火炎は満開の桜のように
    今までの人生を燃え尽くし、
      未来を祝福してるようだった

ENOUのブログ説明
このブログは、小説ブログですので、通常のブログのように新しい記事が上にくるような設定ではなく---。
 1.古い記事の目次、このページが上になるように、そしてこのページだけ表示するよ う設定してます。つまり管理者が情報を選別してるわけですね。
 2.そして、新記事として、各章ができたら目次にリンクするというシステムです。
 3、小説だけでなくボクの日常の出来事、考えていることなどもUpする予定です。
 4.普通、サイドのカテゴリーを探して、記事を探しますが、この目次のページで分類
 して、訪問客がわかりやすいように考えたシステムです。
 5.HPのトップのリンクと似てるでしょう。
 6.他にリンクする箇所は赤文字にしてますので、クリックしてくださるとリンクページです。
 

−−−−−−−−−<目次>−−−−−−−−−
1.立ち読みページ
2.ボクの掲示板GoGoBBSです。!なんでもカキコしてね!
3.ボクエッセイ
4. コメント集
↓の鈴木豪をクリックするとボクのプロフィールです。
内部にリンク集あり
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間借りblogののコメント集
以前の勤労体験へのコメント

マジになればなるほど手の震えが強くなるのも僕と同じです。
首を振って歩いていた時代もあります、街ゆくみんなが「きみ飲んでいるの?」と言いたげな視線でみる。
子供はストレートに「このひと変だよ!」とママに言いますがそのママの言いようは「かもんないの!悪いことしたら、このようになるんだよ!」と言って聞かせました。
ぼくはただ立つ尽くしていた、苦笑いである。

みや2007/05/16 5:03 PM
読んで下さりありがとうございます。
この作品の作者です。
しかし、「悪い事をしたらこのようになる」ですか。
何だか、障害=天罰ですね。
確かに苦笑いをするしかないですね。
僕にもこれに似た経験があります。
もし、良ければみやさんも買ってくだされば、幸いです。


ごー2007/05/16 7:48 PM
Go君、みやさんは黙っていたって買いますよ。Go君みやさんのblogも時々、覗いてコメントし、仲良くなってね。ただ買えではね!

ろっぽん2007/05/17 6:15 PM
GO君!!
言語はn@gyも同じです。構音障害です。
でもSTさんのおかげで、訓練しましたが、言い直せばいいやとふんぎりまCた。
「酔っぱらいの千鳥足のような走り方で」これも同じ。 平衡機能の障害で、たとえば・・・・洗面器の水をこぼさずに歩くことができません。
 文字を書くことも、まっすぐな線がふいにゆがみます。指の力のコントロールができないからです。だから、小さい文字はかけません。
そんなとき 「あきらめないこと」が1つの鍵だと聞いたのです。 ろっぽんさんも「めげないで、こつこつやる。」とおっしゃっていました。。勇気をもらっていますいつも。

 お互いこれからも ファイト!!です

n@gy2007/05/18 5:57 PM
コメントありがとうございます。
そうですね、諦めない事、
これが一番、大事ですよね。
n@qyさんも色々と大変でしょうが、
お互い、何事も諦めないで
頑張りましょう!!


ごー2007/05/18 9:37 PM
そう。そう。
 n@gy、
 真上を向けないのでした。
 バランスがとれず、ふらふらするから。
 目をつぶって歩くことも。

 ついでに 昨日。
 「愛媛県障害者福祉センター」へ行ってきました。機能訓練をさせてもらえるとか・・・。自主訓練をやらせてもらえないかと・・思って。

 今は様子見ですが・・・・
 コメントはらいしゅう月曜以降に。

 障害のレベルが低い。軽度の方が利用者に多いような気が。


n@gy2007/05/19 11:05 PM
周囲に障害を持つ方がいないので、詳しい苦労を目にすることが無く、実際の体験を文章で読んで、胸が痛みました。
『偉い』とか『すごい』とか言われるのは、不本意でしょうけれど、手足の自由がきくアタシは、出来ることを精一杯するというその一生懸命さが『すごい』と思うのです。
生きるために、やらなくてはならないことだとしても、五体満足に甘んじている自分をちょっと反省します。
元気をもらえたような気がします。
ありがとうです。

ひなた2007/05/20 3:25 AM
>n@qyさん
軽度の方に利用者が多いですか.......
重度の方はもしかしたら施設の方で
お断りしているのかも知れませんね。
そういう事は差別的ではあり、
少し、疑問を感じますが。

>ひなたさん
コメントありがとうございます。
ひなたさんに元気をあげられただけでも
作者としては嬉しいです。
もし、良ければ、ひなたさんも
買って下さいね。
そこで、また、少しでも、
僕の本からひなたさんに
元気を与えられば嬉しいです。


ごー2007/05/20 10:54 AM
愛媛県身体障害者福祉センター。
後一月半通ってみようと思います。

そうすれば「集団体操」の意味も・効き目・効果も判ってくるんじゃないかと。 それから決めようかなと思います。

 がんばってるひともいるから・・・・
 いや・・・利用すべきなんでしょう。
 あせらずに利用すべきなんでしょうか?・・

 スタミナを
・・・体力をつけたいです。
 さらに  様子見です。


n@gy2007/05/24 11:47 PM
 リハビリは元に戻すだけじゃなく
機能の維持という面もありますので
そこで教わったリハを根気よく重複するのはn@gyさんだということを頭に置いてくださいね。

ろっぽん2007/05/25 8:01 AM
ろっぽんさんノ言葉。
「めげないで。コツコツやる。」ですね。

n@gy2007/06/06 9:22 PM

<恋愛1のコメント>

残酷非道だね。 ただ慟哭するだけですか・・・ならよいですが自殺願望も目覚めたのではないのかな?
幼かったころにはあったよ。
脳細胞が鈍い学習が出来ないしね、生きている価値ってあるのかとも思ったものです。

みや2007/05/26 6:15 PM
そうですか、みやさんにも
そういう経験があったのですか?
まあ、幼い子供は結構、
残酷な行為をしますからね。


ごー2007/05/26 9:45 PM
鈴木豪 | 徒然 | comments(0) | -
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