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炎桜/えんおう

脳性麻痺のボッボぼくのタッタ体験的小説ブログです。
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黄-19
前を読む
何で、あの時
正直、凄く疲れていたので、
香奈の相手をしようとは思わなかったが、
守るという義務感が疲れている体を奮い起こすかのように、元気良くこう言った。
「うん。何?カッカッ香奈ちゃん」
「前から、ずっと、気になっていたんだけど」
「何?」
「確か、おととしの冬の事なんだけどさ」
「オッオッおととしの、フッフッ冬?」
「うん、春人君にさ、遊園地連れてってもらったでしょ?」
「遊園地?アッ、ああ、あれね、オッオッ覚えてるよ、
ソッソッそれがどうかしたの?」
「ずっと、聞きたかったんだけど、何で、あの時、泣いていたの?」 
 

続く

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黄-20
前を読む
答えは自然と
そう言われば、あの時、自分は何で泣いていたのか分らなかった。
だが、今、冷静に考えてみれば、答えは自然と口から出ていた。
「親父とお袋があの時、リッリッ離婚が決まっていたから」
「そうなんだ、それで悲しくて?」
「何か、アッアッあの時さ、その、ケッケッ啓介さんと潤一が仲直りし始めた時だろ?」
「あー、確かに、そうかも知んない」
「それでさ、何で、ジュッジュッ潤一の家族は元通りになって、
ジッジッジッ自分の家族はバラバラになってるんだろ?
やっぱ、息子が僕みたいな、ショッショッ障害を持っているからかなとか、
自分はこれから先、ヒッヒッ独りぼっちなのかなとか、
そんな事を思っちゃうと、何か、ナッナッ涙が出て来ちゃってさ」
「.....」
続くまた目次に戻ってください

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黄-21
前を読む
一緒に寝て
「でも、カッカッ香奈ちゃんは、抱いてくれた」
「.....」
「その時、ボッボッ僕は思った。
もし、カッカッ家族がいなくても、潤一や香奈ちゃんがいるって」
「うん、私はずっと、春人君の友達だし、味方だよ」
「アッありがと」
闇でも映える、黄色い自分の腕時計を照れ隠しのように見てみると、
もう二時を過ぎていた。それで春人は
「寝ようか?」
「うん.....アッ、あのね.....お願い、あるんだけど」
「何?」
「.....一緒に、寝てくれる?」
「エッ?」
「何か、温もりとか無いと、今日は、寝れない」


続く

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黄-22
前を読む
ぬいぐるみでも
香奈のその気持は痛いほど良く分かっていた春人であったが、
流石にそれはマズいと感じて何も言えずに香奈の顔を暗がりの中で見ていた。
その暗がりの中から香奈が真剣な目で
「お願い」
「.....分かった、一緒に、ネッネッ寝よう」
春人は躊躇いがちにベッドに移動し、自分の腕が香奈の枕になるように抱き寄せた。
香奈はまるでぬいぐるみでも抱くかのように春人を抱き締めた。
香奈はこれで安心して寝れるだろうか?そう心配したが、
間もなく香奈の寝息が聞こえた。
暗闇で香奈の寝顔を見た春人は自分でも分らない感情にコントロールされて、
香奈を優しく抱き締めて、眠りに入り込んだ.....

<黄完>

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橙-1
前を読む
五日前
橙色の陽光が部屋を貫くように照らし出した。
また、いつものように朝が来た。
春人は、自分の今、寝ていたベッドで思っていた。
五日前、香奈が自分と一緒に寝ていた事など本当にあった事なのかと。
枕の匂いを嗅いでみる。
自分の匂いと共に香奈の匂いが微かに染み付いていた。
その匂いを嗅いだ春人は、ああ、矢張り、本当にあった事なんだと実感した。
五日前、レイプされた香奈を自分の部屋に泊めて、
少しでも苦痛が取れるようにと願って、添い寝をした。
それで苦痛は取れたのであろうか?答えはノーである。

続く

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橙-2
前を読む
怖い
それは春人にも分かっていた。
あれから、香奈は大学にも行かずに家に閉じこもっているらしいと、
潤一から話は聞いていた。
苦痛は取れるどころか、増しているようである。
すぐに様子を見に行くつもりであったが、
急に地方の新聞からエッセイの依頼などが来たので、
それに取りかかっていたから、行けなかった。
否、それは只の口実だ。自分は怖いのだ、
自分のせいではないが、今の香奈の状況を見に行くのが。

続く

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禁欲=ヤク!?
今日は日曜なので小説の方はお休みし代わりにボクのエッセイをお届けします。
過去の010徒然の目次

最近、疑問に思っている事がある。
何故、一週間くらい禁欲をすると、イライラするのであろうか?という事だ。
ちなみに今、僕は九日間、禁欲をしている。
意外に思う人もいるかと思うが
僕は、最長二十日間以上、禁欲をしていた事がある。
何で、そんなにまで我慢したのかというと、
只、してみたかったからである。
二十日間していないとイライラどころか
何か、得体の知れない感情に突き動かされて、
人を殴りたくなる衝動に駆られる。
そんな状況が続いたので、それを押さえる為に
してみた。すると!アラ、不思議。
心が優しく、温かくなってるじゃありませんか。
しかも、何か心なしか、世界が綺麗になっているような感じ。
うーん、もしかしたら、禁欲のイライラッて、禁欲における禁断症状!?
オナニー=ヤク!?
確かに、すれば、する程、快感を得る代わりに、
体力が落ちて行くところも似ているしな.........




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橙-3
前を読む
明日、来てくれ
しかし、昨日の夜、潤一から電話があった。
明日、来てくれと。用件は大体、分かっていた、香奈の事であると。
行きたくはなかったが、行く事とした。
午後二時を少し過ぎた頃、春人は水城家に着いた。
ここに来るまで自分は迷った。
正直、誰も出ないでくれと願いながら、躊躇い勝ちにチャイムを押した。

続く

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橙-4
前を読む
誰も出ない
数秒経っても誰も出ない。
内心ホッとしてそこを立ち去ろうとすると、ドアが開けられた。
「よお」
「アッ、ああ」
「入れよ」
「アッアッああ」
潤一がいつもと違うように感じて、春人は怯えていた。
何を言われるのかと。ボーッと突っ立っている春人に潤一は少し、苛ついたように
「何してんの?さっさと、入れよ」
「オッ、おお」
続く

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橙-5
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いい家だね
怖ず怖ずとしながら、中に入った春人に潤一は
「何だよ、何、ビビってんだよ」
「いや、そんな事、無いけど、アッ、あの」
「何だよ」
そう言われて、何か言わないといけないと思い、少し混乱してこう言った。
「あのさ、いい家だね」
「はあ?何言ってんの?」

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